好きな果物は、と聞かれたら、柿は挙がるでしょうか?
「みんなー、好きな果物はなぁにー?」
子どもたちに質問するとします。
あなたもちょっと考えてみてください。
どんな声が返ってくると思いますか?
きっとこんな声が返ってくるでしょう。
「ぶどう!」
「パイナップル」
「バナナ」
「メロン」
「いちご」……
なかなか柿を挙げる子どもは少ないと思います。
(厳密にいえば果物に含まれないメロンやいちごは挙がるのに……)
それって、子どもたちにとって、
あまり柿がおいしく感じられないからなんじゃないでしょうか。
実は私も、子どものころは……
実は私も子どものころ柿があまり好きではありませんでした。
理由は、いつでも食べられるありふれた食べ物だから……。
小学校に上がることからなんとなく柿を避けるようになり、
その後ずいぶん長い間自分の家の柿を食べなくなりました。
久しぶりに自分の家の柿を食べたときの衝撃は今でもよく覚えています。
こんなにおいしい食べものがこんなに身近にあったなんて!
私の思いは、柿の良さをもう一度、
より多くの方に知っていただきたいということです。
柿は日本の気候に適しているため、
大昔から栽培され、
冬の貴重な糖分の補給源となっていたようです。
現在は国が豊かになり、嗜好の多様化する時代になりました。
街では、さまざまな種類の果物が売られています。
でも、少しだけ考えてみてください。
その食べものから旬を感じることができますか?
また、その食べものから日本らしさや、日本の伝統、文化を感じることができるでしょうか?
柿は春先にいっせいに花が咲き、秋が深まっていくとまたいっせいに赤く成熟していきます。
完熟した柿はあまり日持ちがしないので、木からもぎとった柿をそのまま食べられるのは
一年の中でほんの一瞬ということになります。
外国ではほとんど栽培されていないので、輸入品がスーパーに並ぶこともありません。
食べた瞬間に季節感や日本らしさが口いっぱいに甘く広がる果物はほかにあるでしょうか?
もしかしたら、それは柿だけかもしれませんね。